Q.遺言でできることはどのようなことですか。
また、遺言にはどのような効果があるのでしょうか。
A. 遺言書に書く内容については、特に制限はありませんが、民法は遺言の方式と法的効力を持つ 『 遺言事項 』 を定めています。
財産を誰に相続させるか具体的に指定して法律的に確実にすることができるのです。
また、『 家族仲良く暮らすように 』 など家訓・遺訓を 『 付言事項 』 として遺言書の最後に書き添えれば、大切な家族やお世話になった方に愛情・感謝の気持ちをメッセージとして伝えることができます。
たとえ法律的効果がなくとも、可能な限りあなたの意思が尊重され相続トラブルを防ぐ効果が期待できます。
1. 遺言により法律的効果がある 『 遺言事項 』 の主なもの
相続に関する事項 |
● 相続分の指定 法定相続分と異なる指定ができます。 例 ..... 『 長女に遺産の2分の1を相続させる 』
● 相続の分割方法の指定 個々の財産ごとに誰に相続させるか指定できます。 例 ..... 『 長男に土地を相続させる 』 『 次男に株式を相続させる 』
相続人に飛行などがあった場合に、被相続人はその相続人に相続させないようにすることができます。( 相続人の廃除 ) また、その廃除を取り消すこともできます。
● 遺言執行者の指定、遺言内容を実現するための手続きを行う人の指定 |
身分に関する事項 |
● 非摘出子の認知 婚姻外の子どもを認知できます。
民法は未成年者保護のために、親権者の規定を定めています。 親権者とは通常、未成年者の父母ですが、父母が存在しない場合等には、父母に代わって未成年者の監護等を行う後見人や後見人の事務の監督等を行う後見監督人を指定することができます。 |
財産処分に関する事項 |
● 遺贈 法定相続人以外の人に財産を分与することができます。 例 ..... 遺産の2分の1をAさんに遺贈する( 包括遺贈 ) Bさんに○○所在の土地を遺贈する( 特定遺贈 )
公益法人などに財産を寄付することができます。 |
付言事項
『 遺言事項 』 のような法律的効果はありませんが、なぜそのような遺言にしたか、付言事項で思いを伝えれば遺言に対する理解をえることができ、 『 不平等ではないか 』 などの感情的な対立を未然に防止できます。
例1. 分割方法の指定 |
『 長男○○は、高校を卒業してから、私の家業を寝食を忘れ手伝ってくれました。 自宅と店舗を相続させたのは、私からの感謝の気持ちです。
次男長女が大学まで進学できたのも、長男○○の苦労の上だったのは皆も理解してくれるでしょう。』 |
例2 遺贈 |
『 長男の嫁○○が、病弱な私を献身的に監護してくれ、感謝しています。 預金を○○に遺贈するのはそのためです。 』 |
※葬儀や、お墓に関する希望、臓器提供など、事前に登録準備が必要なものもありますが、付言して理解を得られるようにするとよいでしょう。
3.遺言でできないこと
●結婚や離婚、養子縁組、離縁など、基本的に双方の合意が必要な身分関係を定めること。
●遺留分を侵害するような遺言は、相続人の理解を得られない時に問題が残ります。