妊娠・出産・育児休業をするとき
被保険者が、妊娠・出産から育児休業を経て職場復帰するまでの給付とそれにかかる一連の手続きは、表のとおりです。
被扶養者がいるときには、(2)、(4)が支給されますので、担当窓口に申請するとよいでしょう。
(2) 出産したとき
被保険者または被扶養者が出産(妊娠4か月以上の出産をいい、正常分娩、早産、死産、流産、人工妊娠中絶であるとを問わない)したときには、出産育児一時金または家族出産育児一時金として胎児一児につき39万円(産科医療補償制度に加入している病院などで出産したときには、42万円)が支給されます。
(3) 被扶養者が増えたとき
出産したときには、原則として、出産日から5日以内に、年金事務所に「被扶養者異動届」を提出します。
(4) 子ども手当を申請するとき
子ども手当は、子ども(15歳到達日以後最初の3月31日までの間にある子どもをいう)の健やかな育ちを支援するために、平成22年度から実施されている時限立法で、平成23年10月(同年6月分〜9月分)までの支給が決定しています。
児童手当と比べ範囲が広く、所得制限もありませんが、住所地の市区町村で認定を受ける必要があります。支給額は、1人につき月額一律1万3千円です。
(5) 児童扶養手当を申請するとき
児童扶養手当は、父母の離婚、行方不明(孤児)、父または母の死亡など片親からしか養育を受けられない一人親家庭などの児童を養育しているもので、所得が一定水準以下の養育者に支給されます。
なお、児童扶養手当は子ども手当との調整規定がないので、支給要件を満たせば両方の手当を受けることができます。児童扶養手当は、所得額により全部支給、一部支給、支給停止のいずれかが決められます。また、子どもが2人以上いる場合は、一定額が加算されます。
(6) 育児休業をしたとき
育児休業給付金は、原則として1歳または1歳2か月未満の子を養育するために育児休業を取得する雇用保険の一般被保険者であって、休業開始前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12か月以上あった時に支給されます。
支給額は、一支給単位機関(30日)について、休業開始時賃金日額に支給日数を掛けた額の40%(当分の間は50%)相当額です。
支給対象期間中に賃金が支払われた場合の支給額は、次の通りです。
① 賃金が休業開始時賃金月額の30%以下の場合
…賃金月額(賃金日額の30日分)の50%相当額
② 賃金が休業開始時賃金月額の30%超80%未満の場合
…賃金月額の80%相当額と賃金の差額
③ 賃金が休業開始時賃金月額の80%以上の場合
…支給されません
(7) 育児休業期間中の保険料免除の申出をするとき
3歳未満の子を養育する育児休業等の期間について、育児休業等開始日の属する月から育児休業等終了日(女性の場合は出産日後57日目から子供の3歳の誕生日の前日までの期間)の翌日が属する月の前月(最大で3年間)までは、申出により、事業主・被保険者ともに厚生年金保険金及び健康保険の保険料が免除されます(雇用保険は賃金を支払うつど保険料が徴収されますので、賃金を支払わなければ保険料を徴収されることはありません)。ちなみに、この免除期間は被保険者期間に算入されますので、年金額等にも当然に反映されます。
(8) 育児休業前と出社後の標準報酬月額に変動があったとき
3歳未満の子を養育する被保険者が、育児休業終了後に労働時間を短縮して就労する場合、報酬月額は一般的に低くなります。
そこで、育児休業等終了日の翌日の属する月以後3ヵ月間に受けた報酬の総額をその期間の月数(報酬支払基礎日数が17日未満の月は除く)で割った額と、従前の標準報酬月額とを比べて標準報酬等級に1級以上の差が出たときには、標準報酬月額の改定の申し出ができます。
この場合、保険料及び傷病手当金などの保険給付は新たな標準報酬月額に基づき計算されます
。
(9) 育児休業前の高い報酬で年金額を計算してもらいたいとき
3歳未満の子を養育し、または養育していた者が、年金額の計算の基礎となる平均標準報酬月額について、育児休業開始前(従前)の標準報酬月額で計算してほしいときには、この申出書を提出します。