進まない地熱発電
福島第一原発事故を受け、政府はエネルギ−政策を見直していますが、そんな中、注目を浴びているのが「地熱発電」です。
もっとも、地熱発電の開発は進んでいないのが実態です。
そこで、資源エネルギ−庁が公表した地熱発電に関する研究会の報告や日本地熱開発企業協議会の資料をもとに、地熱発電についてまとめてみました。
☆地熱発電とは
地熱発電は、地下深い所(通常地下1〜3㎞)にある高温のマグマから供給される膨大なエネルギ−により高温・高圧となった熱水・蒸気を利用して発電する方法です。
火山列島である日本に豊富に存在しているクリ−ンな自然エネルギ−のため、太陽光、風力、水力などと並んで二酸化炭素の抑制・地球温暖化防止の切り札とされています。
☆地熱発電の特徴
地熱発電については
① 二酸化炭素をほとんど排出せず
② 海外からの輸入に頼らない純国産エネルギ−であり
③ 自然エネルギ−の中では安定的な電源で
④ 他の再生可能エネルギ−(太陽光、風力など)と比較して稼働率が高い
といった特徴があげられています。地熱発電の開発可能地点は、日本全国に広く分布しています。特に年間日照時間が短く太陽光発電の普及が難しい北陸や東北、北海道の日本海側の潜在能力が大きいと言われています。
☆地熱発電の問題点
長期エネルギ−需給見通しによると、2005年度を基準として、太陽光発電は2020年度に10倍、2030年度に40倍と大幅に、また風力発電は2020年度に5倍、2030年度に6倍と、ともに増加する見通しであるのに対し、地熱発電については現状維持とされています。そして、以下のような課題を抱えていることから、地熱発電所の新規立地は進んでいないのが現状です。
① 経済性・開発リスク
地下深部の調査を要することから、ボ−リング調査など開発に要する期間が長くなります。また、調査・開発段階で多数の坑井掘削が必要であるとともに、運転開始後も補充井の掘削等が必要になります。これらのことから、開発コストが高くなってしまいます。
② 地元温泉業者との調整
ほとんどの有望地熱開発地域が温泉地域の近くに存在することから、温泉が枯渇するとして温泉への影響を懸念する温泉事業者との調整により、開発が停滞しているようです。
③ 自然公園法等の規制
多くの有望地熱開発地域が自然公園地域内にあることから、自然公園法への対応など、法規制をクリアしなければなりません。